sence of place


山尾三省 「アニミズムという希望」より

住むとゆうことは、とても大事なことですね。
人間というのは、植物と同じように基本的にはその場所に属していますから、望むと望まざるにかかわらず、住む場所に属しますから、好きな場所に住むということは、とても大事なことですね。
ですから、自分がどんな土地が好きなのか、山が好きなのか、あるいは海が好きなのか、あるいは平野が好きなのか、都市が好きなのか、大都市が好きなのか、村が好きなのか、町が好きなのか、というようなことも含めて、自分が生涯住む場所というものを探していくといいますか、求めていくといいますか、それを意識化して、意識して探していくということがとても大事なことのように思います。

「故郷性存在」とはどういうことかというと、その場にぴたっと呼吸が合うといいますか、感覚が合うといいますか、英語ではそれをセンスオブプレイス 、場の感覚という言葉で呼んでいますけれども、要するに人が生きるというその中味とその場というものは、密接に分かち難く関係していると思うんです。
というよりは、ぼくの感じでいえば同じものだという気がするんです。
水と人とは同じものだというお話をしましたね。
生物と非生物というのは連続している。
同じように、人とその人が住む場所というのは同じものだと、ひとつづきに連続しているものだと思うんです。
それを、センスオブプレイス といいます。
ぼくの場合には、それを「故郷性存在」という言葉で呼びます。
つまり、そこで人が原初的に安心して生きることができ、そこへ安心して死んでいけるような場を求める感覚を、人間性は内在させている、ということです。