親和力を磨く

I KIN YE!!!

「親和力」。。。

暗黙のうちには理解してる感覚。

それを言葉に表現するんてむずかしい。

でも、とても大切な感覚やと思う、

山尾三省は、その感覚をけっこう解りやすく書いてる。

アニミズムという希望―講演録・琉球大学の五日間

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親和力

なぜ、モンシロチョウは菜っ葉を食べるのか、

なぜ、アオスジアゲハは楠の木を食べるのか、

ツマベニチョウはギョボクを食べるのか、

カラスアゲハは柑橘類を食べるのかってことは、

分からないわけです。

何千何万種類の植物のなかから、

なぜDNAが特定のある植物だけを指令するのか、

それは、神秘というほかはありません。

「親和力」この言葉の発祥元は、ゲーテです。
ドイツの十八世紀から十九世紀にかけての作家で、
ずばりそのままの「親和力」という作品があります。
一人の初老の男と、若い娘が魅かれあって悲劇に至る恋愛小説なんですけども、
その男と女が運命的に魅かれあう力というのを、「親和力」という言葉で表現したわけです。

では、ドイツ語のもとのタイトルは何かというと、
wahl verwandt schaften」
 ヴァール フェルヴァント シャフテン 
辞書で調べますと、
wahl ヴァールというのは、選ぶという動詞の語幹です。
verwandt フェルヴァントっていうのは、血筋、親戚、家系、血族、という意味です。
schaften シャフテンは、言葉の語尾について抽象名詞の女性を形成するものです。
ですからこれを統合すると、「選びとられた血縁性」というようなものなんですね、
血縁というのは、同族ということですから、類は友を呼ぶって言いますよね。
そういうふうに、同じものが同じものの匂いを嗅ぎ分けて、それを選びとる力のことを、
最初にゲーテを訳した日本人は「親和力」と訳したんですね。

アイ・キン・イー

「リトルトリー」のあとがきに宮内勝典が興味深いことを書いてます。
ネイティブアメリカンのおじいさんが孫に対して、「お前を愛してる」と言うとき、
ふつう英語では、「I love you」といいますね。
ネイティブの人たちは、替わりに「I kin ye」と言うのだそうです。
yeはyouの造語です、で問題なのがkinです。
これが、なんと、血筋あるいは同類、親族、血筋という意味で、
先ほどのverwandtフェルヴァントというドイツ語とまったく同じなんです。

それは、おじいさんと孫であれば当然血もつながってるわけですが、
そうじゃなくて、恋人同士でも、親しい人同士でも、愛をこめて挨拶をかわすときに、
アイ・キン・イーという。
同類ということ、つながっているということが、愛するということのリアリティであるわけです。

ぼくたちの生命は、生きるというこは、
なにかにつながっていくこと、なにかと同類になっていくことであると。

親和力というものは、個体を超えて、どこまでも広がっていきます。
その親和力のアンテナに磨きをかけて、
自然の中に、人間関係の中へどこまでも踏み入っていくのが、
これからの新しいアニミズムであると考えます。

リトル・トリー

リトル・トリー